福知山市 市長公室 企画課 市民協働係長
福知山市は、近畿そして京都府そして近畿の北部地域における京阪神地域からの玄関口として栄えてきましたが、全国的な傾向のとおり、少子高齢化、市民ニーズの多様化、複雑化する地域といった課題が浮き彫りになっています。
しかし、どういった形で地域や市民がこういった公共的な課題に対処していくのか模索しているのが現状であり、そんな中、大学の知見、先生や学生のみなさんが直接地域と関わっていただく中から新しい視点が養えるのではないか、という期待があります。
市においては、課題解決には市民をど真ん中に据えた市政を進めていくことが肝要と、市民協働の推進により市民・行政が一体となって行う手法を検討しているところです。
その一環として、平成21年度から市による市民協働検討事業を開始し、平成23年度から3年に渡り市民委員と市職員のプロジェクトチームによる市民協働推進会議を立ち上げ、様々な議論を続けてきました。
しかし、議論の中で福知山人気質という言葉が出るぐらいに、お上意識が強い、行政だけが公共的課題にあたるもの、という固定観念が市民・行政ともに強く、中々具体案にまで進展していかない現状がありました。
特に、これまで行政が開催する市民との意見交換の場では市への要求要望の場となるのではないか、行政と市がお互いに機能し合う仕組みというものが成立し得るのか、という危惧があったのではないかと思います。
そんな中、市民ニーズの新しい抽出についてのシステムづくりを大学連携で構築しようと、龍谷大学政策学部教授陣と市とが検討を重ねる中で、福知山市における公共的な課題解決には、各課題に対する市民団体の活動が不可欠との意見から、市民団体合同会議を開催することとなりました。
これまで横のつながりのなかった市民団体同士に、自由な意見交換をということから、まちづくりという大きなテーマで話し合いをしていただきましたが、大きなテーマすぎてまとまりがないという印象を市民団体のみなさんが受けられたようでした。
しかしそんな中から、普段まちづくりに関わりのない人から多様な意見をきくことがまちづくりには重要ではないか、市には特徴のある大きなテーマが必要ではないか、といった意見をいただきました。
そして、大学と行政に市民団体の中から市民協働推進会議が加わり、更に議論を重ねる中で、話し合うことで課題解決の糸口がつかめるということを体験することで、市民ニーズの把握も可能になるのではないか、そして、大学と行政だけでなく市民も一体となった仕組みの中でなら、新たなシステムが構築できるのではないかということから、市民と行政、大学との連携により、100人ミーティングを実施することへとつながっていきました。
無作為抽出による市民100人が5~6人づつのグループに分かれて、1日自由に意見交換をする、という仕組みに、テーマ設定、市への要求要望ではなく市民と行政の役割分担によりまちづくりが充実していくという市民協働の実現についての大学教授から説明、会議を円滑に進めていくためのファシリテーターの養成、話し合いへの大学生の参加など、大学の大変大きな力により、大成功を収めることが出来ました。
実際に福知山の銘菓・スイーツを参加者に提供しほぼ半日かけてアイスブレイクを行うことや、子どもたちに残したい福知山をテーマに議論することでまちづくりへの関心を参加者に持つきっかにしていただけたことなど、100人の多様な皆さんに非常に満足な思いで参加いただくことが出来ました。
今回、大学生のみなさんにも参加いただきましたが、10代から70代までの男女をさまざまに組み合わせることで多様な意見が出るということを体感し、これが市民協働の新しい姿だということを経験することを大学のカリキュラム化することで、大学教育が更に地域への貢献や実践につなげていくことが出きるのではないかと思います。
今後、更なる検討を大学と行っていく予定ですが、行政と大学との役割分担も明確にしていくことで、新たな協働が生まれるのではないか、そして、これをモデルとしてさまざまな地域へ発信することが出きるのではないか、と期待し今後も連携を深めていきたいと考えています。