2017年3月 3日
第16回:いろいろな視点を持たないと自分の視野も広がらない(柳井真衣子氏、初級地域公共政策士)

地域公共政策士資格制度は、2009年度より京都府内の9大学、行政、経済団体、NPO等と協働しながら、設計・開発・運用を行ってまいりました。2011年度からは地域公共政策士の本格運用を開始し、2015年度からは学部資格への拡充の要望を受け、初級地域公共政策士もスタートしています。2016年現在、50名以上の資格取得者が誕生しています。そこで、本コラムは、資格取得者の声を特集連載し、資格取得の動機や学びのプロセスにおける気づきを取り上げます。

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柳井真衣子氏

(初級地域公共政策士/龍谷大学政策学部4年生/2017年4月より民間企業に就職)

政策学部になぜ入学したのですか。

 高校生のときは、環境問題やボランティアに興味を持っていました。たまたま龍谷大学政策学部のパンフレットを見て、地域の現場に実際に出て活動するのも面白そうだなと思い入学しました。

海外PBLの一つであるドイツのドルトムントプログラムに参加されていたんですよね。

 1年生のときに参加をしました。私のときは、プログラムとして開発段階だったので、単位にはなっていませんでしたが、もともと海外に興味を持っていたので参加しました。2月後半にドルトムント工科大学の学生が龍谷大学に1~2週間ほど来て、福知山市や尼崎市のまちあるきやワークショップを行いました。

 1週間ほど間をおいて3月前半に、今度は龍谷大学の学生がドルトムントに行って、同じくまちあるきやワークショップをしました。田舎のまちや商店街を歩いたのですが、廃れているところが多かったのが印象的でした。山の上にミュージアムのようなお城があるんですが、山の上なので行きづらくて。ちょうどエレベーターの建設途中だったので現場に入ったり、管理している会社の方に案内をしてもらいました。そのようなまちの状況を踏まえて、循環型のまちづくりの提案をしました。1年生だったので、先輩方についていくのに必死でしたね。

ドルトムントでの経験がその後の大学生活にもつながっているんですよね。

 ドルトムントで、実際にまちあるきをして地域を見ることが面白いなと思いました。そこで都市計画に興味を持つようになりました。ドルトムントの引率をされていた先生が都市計画を専門とされている先生で、先輩方もその先生のゼミ生の方が多かったんです。先輩たちはまちあるきやワークショップに慣れていて、地図を広げて積極的に絵を描いている姿が素敵だなと尊敬しました。まちを見るときにはいろいろな視点が必要なんだな、ということも気づきました。

地域公共政策士のことはいつ知ったのですか。

 3年生の履修説明会のときです。その時点で、資格取得に必要な科目の大半は取れていて、あともう少し頑張ったら資格が取れそうだなと思って。資格として形に残ったら自分の学びの価値にもつながるのかな、と思って残りの1科目も取ることにしました。その講義では普段聞けないような話もヒアリング先から聞くことができて、内容の濃いものでよかったです。資格という枠組みがなかったらおそらく取っていなかった科目だと思います。

 同じく「地域公共政策士」資格教育プログラムの一つに「発展演習」という授業があります。私は2年生の後期、3年生の前期にその授業を取りました。テーマの一つが、四条通の歩道拡幅でした。商店街の方や住民の方にインタビューをしたりしました。それまでは、行政の言うことが「そうなんだ」と納得していたけれど、それだけじゃなくて商店主や住民の方など、いろいろな視点を持たないと自分の視野も広がらないと思いました。

「発展演習」は少人数の授業で、毎週調べてきたことをまとめて発表をし、その内容について先生からコメントやアドバイスをもらうというものでした。京都で起こっていることと似ていることが、遠く離れた地域でも起こっていることを知りました。作業はしんどかったですが、その分、視野が広がって有意義な授業だったと思います。

今後、「地域公共政策士」がどうなっていったらいいと思いますか。

 「地域公共政策士」のプログラムには地域連携のプロジェクトがたくさんあると思います。プロジェクトが続いていく中で、学生同士の交流が深まっていったら、さらに私たちの視野も広がるんじゃないかなと思います。ドルトムントプログラムは私が参加した翌年も実施されたのですが、その受講生たちとは共通の友人などを通じて今も交流が続いています。

聞き手:地域協働総合センター 博士研究員 久保友美

大学と地域(コラム)