2017年2月 8日
第13回:「自分はどう思ったのか」「何が分かったのか」をまとめる力(青木菜茄氏、初級地域公共政策士)

地域公共政策士資格制度は、2009年度より京都府内の9大学、行政、経済団体、NPO等と協働しながら、設計・開発・運用を行ってまいりました。2011年度からは地域公共政策士の本格運用を開始し、2015年度からは学部資格への拡充の要望を受け、初級地域公共政策士もスタートしています。2016年現在、50名以上の資格取得者が誕生しています。そこで、本コラムは、資格取得者の声を特集連載し、資格取得の動機や学びのプロセスにおける気づきを取り上げます。

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青木 菜茄氏

(初級地域公共政策士/龍谷大学政策学部4年生/2017年4月より民間企業に就職)

なぜ政策学部に入ろうと思ったのですか。

 高校のときに現代社会や政治経済の授業が好きでした。決まった答えがあるわけではなく、ディスカッションをしながら考えを深めていくのが面白いなぁと思ったんです。

 政策学部といっても幅広くて、入学当初はなかなかつかめなかったのですが、授業を受けていくにつれて都市計画系の授業が面白いと思うようになりました。もともとまちを歩いたりするのが好きで。都市計画を学ぶようになって「この空間は計画されて作られていたのか」と気づくようにもなりました。

「地域公共政策士」を知ったのはいつですか。

 3年生のときの履修説明会です。「こんな資格があるんや」と思いました。資格教育プログラムを構成する科目を割と取っていたので、あとちょっと頑張って取ってみようと思って。「地域公共政策士」に対する大学の友人・知人の反応はそれぞれですね。私と同じく「あとちょっと頑張ろう」という人もいれば、「大変そうだなぁ」と感じる人もいるように思います。そういえば、就職活動のときには履歴書にこの資格のことを書きました。「これ何?」と尋ねられることが多かったです。

「地域公共政策士」の科目で印象的だった科目はありますか。

 海外PBLですかね。海外PBLはお金も時間もかかるけれど、魅力的なプログラムなので受講を悩む人が多いように思います。座学の授業でも海外の事例について学ぶことは多いですが、実際に行って学ぶのと身に付き方が違うんじゃないかなと思います。

 私はドイツのドルトムントプログラムに参加しました。英語で話すのがとても難しかったですね。しなくちゃいけないのは、会話じゃなくて議論。ドルトムントは相手が大学院生だったので、議論の内容も難しかったです。縮小都市をテーマの一つにしていたので、福知山の人口動態などを研究してドルトムントで発表をしました。自分の伝えたいことを言葉で伝えるのはなかなか大変だなぁと思いました。

 他に挙げるとしたら、「発展演習」の授業です。四条通の拡幅工事が授業の課題でした。新聞記事を集め、京都市役所や商店街の方にインタビューをしました。インタビューをしてみると、市役所と商店街・住民の方に、それほど意見のギャップがなかったのが意外でした。新聞記事だと拡幅工事は市民の方から反対の声が上がっているイメージだったのですが実際に話を聞いてみるとそんな感じでもありませんでした。

 演習の授業なので、毎週、自分が調べてきた内容を持ち寄って共有します。しかし、手を抜いたらすぐばれちゃうんですよね。先生からは「調べたことを報告するだけだったら、自分でネットで調べて読む方が早い」と言われました。調べた内容について「自分はどう思ったのか」「何が分かったのか」をまとめることが大切で、その力がついたように思います。

 フィールドワークをするにしても単に現地に行くのではなく、事前学習など用意周到にする学習の習慣がつきました。知識不足だとすぐ相手に伝わっちゃうので、図書館に行って調べたりもしていましたね。

「地域公共政策士」が今後、どうなっていったらいいと思いますか。

 資格取得者や受講者同士がつながる場があったらいなと思います。大学によってとる授業が違いますよね。私が海外PBLや発展演習の授業が印象的だったように、他のプログラムの特色ある授業についても詳しく聞いてみたいです。それを発信していったら、後輩たちももっと「地域公共政策士」に興味を持ってもらえるのではないでしょうか。

聞き手:地域協働総合センター 博士研究員 久保友美

大学と地域(コラム)