地域公共政策士資格制度は、2009年度より京都府内の9大学、行政、経済団体、NPO等と協働しながら、設計・開発・運用を行ってまいりました。2011年度からは地域公共政策士の本格運用を開始し、2015年度からは学部資格への拡充の要望を受け、初級地域公共政策士もスタートしています。2016年現在、50名以上の資格取得者が誕生しています。そこで、本コラムは、資格取得者の声を特集連載し、資格取得の動機や学びのプロセスにおける気づきを取り上げます。
片桐 悠氏
(初級地域公共政策士/龍谷大学大学院政策学研究科 修士課程)
もともと自然に興味があって、自然と触れ合うことが好きでした。自ずと大学では環境、人間科学や地域文化について勉強をしたいと思うようになりました。「文系の中でそんな勉強ができるところがないか」と大学を探したときに龍谷大学政策学部に環境系のコースがあるのを知り、入学をしました。
周りは積極的に自分で動ける人が多いように思います。社会問題に興味を持ったら、どんどん調べたり、関係者に会いに行ったり。ただただ動くだけでなく、立ち止まって考えることも必要なんだということに気づかされました。自分も高校生のときと比べると能動的になったように思います。私は政策学部2期生だったので、自分たちの手で0から作り上げていく楽しさを感じたのも大きいです。
確か2年生か3年生の履修説明会のときです。資格教育プログラムの科目と自分が取りたい科目と重なっていることも多かったので、「もうちょっと頑張れば資格が取れそうだな」と。資格を取得することができましたが「どんな資格なのか」と質問されると未だきちんと説明ができるまでは至っていないですね。
面白かった授業の一つは「保全生態学」です。環境系の活動は行政やNPOがするものだと思っていたけれど、企業もちゃんと環境活動に取り組んでいるのだということを初めて知り、印象に残りました。
いろいろな方向で物事を考えるようになったと思います。環境系のゼミだったのですが、1年間畑を借りて作物を作っていたんです。そのつながりで、地域の方から食育活動のイベントもしてほしいというご依頼をいただきました。そこで、地域の方と縁があった他の3大学や行政の方と一緒にプロジェクトチームを組んで、企画運営を行うことになり、私が学生グループのチームリーダーを務めることになりました。だけど、時間が経つにつれて、チームミーティングの参加人数も限られてきて。それぞれの大学の学生がやる気をもって参加をしてもらうためにはどうしたらいいんだろう、と相手の立場になって考えるようになりました。おかげでイベントはうまくいって、終わった後に「イベントに参加をしてよかった」と参加者の感想をもらったときはうれしかったです。
また、これまでは「畑の問題」といったら畑のことしか考えていませんでした。だけれど、最近では「まちの中で畑はどのような社会的役割を担ってきたのか」「畑にかかわる人はどういう人なのか」といった風に一つの問題に対しても俯瞰して物事を見ることができるようになったと思います。
以前、社会人院生の方に「地域公共政策士」がなぜ広まらないのか尋ねたことがあるんです。資格そのものがあまり知られていないこともありますが、「地域公共政策士」を持っていなくても似たようなことはできるんじゃないの、とおっしゃられていました。自分はせっかく資格を取ったのだから、まずは資格の認知度を広げて、「「地域公共政策士」を持っていればこういう仕事ができますよ」と社会に伝えていきたいです。
今は、行政だけでなく、市民やNPOの方々が地域社会の問題を解決していっていますよね。そこに「地域公共政策士」も関わって、課題解決につながったり、問題そのものがなくなったりするような世の中になっていったらいいなと思います。自分もその一人として携わっていくことができればいいですね。
聞き手:地域協働総合センター 博士研究員 久保友美