龍谷大学
2 大学地域協働の関係づくり
2-1:地域連携交流館の設置による大学地域連携の拠点づくりと地域協働プログラム

地域交流館の設置による大学地域連携の拠点づくりと地域協働プログラム

京都府北部地域に学生の滞在型実践教育を推進するためのプラットフォーム(地域連携交流館)を設置します。

現在は、京都府北部の各自治体と協力しながら、宿泊機能、研修機能や地域との交流が可能なのかを重要ポイントとして地域連携交流館として相応しい施設の情報収集や選定、調査を実行しています。

この地域連携交流館を拠点として、地域と学生が継続的に交流する場や機会を創出し、地域課題について理解を深めるとともに、地域活性化のためにイノベーションを創出する交流館を目指します。

また連携大学が協力し合い、地域活性化について考えるための体験学習やアクティブ・ラーニングの開発を推進し、地域活性化に資する担い手の裾野を拡げていきます。

今年度は、昨年度調査において候補とされた施設を中心に地元自治体との協議を重ね、地域連携交流館の仮オープンを目指します。

京丹後市久美浜町における活動拠点「濱茶屋」の視察報告

実施日時・場所

日 時:2013年9月5日(木)~9月7日(土)

場 所:「濱茶屋」(京丹後市久美浜町)

 

概 要

 京都府北部における「地域連携交流館」設置事業の推進を図るため、候補地の1つである京丹後市久美浜町にある「濱茶屋」に赴いた。概要は以下の通りである。

 総務省の域学連携事業にて、龍谷大学の学生と法政大学院生ら11名が9月3日(火)~9月7日(土)まで「濱茶屋」を宿泊所として、久美浜町の課題や魅力をヒアリング調査し、地域活性化について地域住民と共に考えるという活動を行っていた。

 そこでこの日に合わせて、「濱茶屋」を宿泊所としてどのように利用しているのか、また、地域住民との交流の場と成りえるのか状況確認と問題点の抽出に向けて調査を行った。  

濱茶屋外観.jpg 3階 和室2(広間).jpg  3階 和室.jpg 

 

 

濱茶屋とはどのような施設?

「濱茶屋」は、木造3階建ての久美浜町を代表する旅館として5年ほど前まで営業をしていたが店主が没した為、廃業となっていた。しかし、その歴史的建造物を有効活用したい京丹後市は、大学生の中長期間の誘致を目的に宿泊所としての利用を龍谷大学に提案し、今回の利用となった。寝床として使用していたのは、2階、3階の和室を使用し、布団、枕等はレンタルにて対応した。

 3階は、襖で4部屋に間仕切りされており、襖を外せば大広間となり20人ほどの会議も可能であるが、座敷である為長時間座っての利用は年配者には足腰の負担が大きいと感じた。トイレについては、1階に簡易水洗トイレが2つあり問題なく使用できており、洗濯機1台も完備されているが、べランダが無いため部屋内にて干すことになるのだが、夏場に関しては問題なく感じた。風呂場については、浴室が1つしかなく、また1人しか利用できないため、全員が順番に使用するにはかなりの時間を要することがわかった。さらに、各部屋にはエアコンが完備されていないため季節によってはこの施設の使用を控えることも考えなければならないと感じた。

 

久美浜町をフィールドとした地域活性化に向けた活動への展望

 久美浜町は、大学生たちが地域活性化についてのアクティブラーニングを実施することが可能なフィールドであるのか現地調査を行った。

 旧久美浜町は、8地区から成る町であるがその地域性は北近畿タンゴ鉄道を挟んで海側、山側と別れ、職業も違う事から地域性もかなり異なる地域と言える。そのため、8地区全体の結束力よりも地区ごとの団結力・仲間意識の方がより強いように感じられた。

 さらに、久美浜町は、若者の人口流出と高齢化の進行により、過疎化や地域コミュニティの維持が難しく、高齢者が高齢者の生活を支えている現状でもある。

 その中で、町外からの若者が久美浜町に来ることは地域の方々にとって大きな刺激であり、大学生への期待感も大きいと感じた。その理由の一つとして、久美浜町のNPOをはじめ地域の方々は大学生のフィールドワークに協力的であり、大学生らが客観的にとらえた課題や多様な視点から新たな解決策を見出そうとしていたのが印象的であった。

 また、大学生と地域住民がそれぞれの知識・経験を基に活性化へのアイデアを考え、世代間を超えた意見交換をする事により、学生にとって地域活性や地域で活躍する人材育成の必要性など新たな気づきも得られたと考える。

 さらに、地域に柵のない学生たちが活動することにより、地域性の異なる住民同士の交流を深めるきっかけ作りにも寄与し、久美浜町全体の潤滑油と成りえるのではないかと思われる。

 

地域の持つ可能性について

 最後に、久美浜町は食材の宝庫であり牡蠣、カニなどの海産物を初め、米や野菜、果物、酒などほとんどの食材が手に入る町でもある。これらの新鮮で自然の食材を活かした商品開発や観光誘致など実現できる可能性は大きく、大学生らが地域と協働して今後も活性化に取り組むフィールドとしては申し分ないと感じた。

以上

平成25年度