全国の重要伝統的建造物群保存地区では人口減少・少子高齢化に伴い、空き町家が増加しており、それらの動態保存が課題となっています。本事業は、文化的景観に代表される文化政策の新段階を示す近江八幡市の風景計画・風景づくりの動向、町家のまちづくりや観光交流における役割を、大学と地域の多様な主体との協働を基に検討し、京都府北部での試行につなげようとするものです。このために、行政(近江八幡市・総合政策部政策推進課、都市産業部産業振興課。今後は福祉や観光関連部課等との連携も深めたい)及び「近江八幡まちや倶楽部」(市民による民間組織)と協力し、町家(旧造り酒屋)を拠点に、文化や観光を核とする地域活性化の方法論として協働型文化開発を実践的に研究しながら、地域と一体となった人材育成を推進します。平成24年度は、地域イベントに、学生が企画を提案し、運営に参画しました。また、NPO法人「NPOぽぽハウス」(彦根市)との連携により、障害をもつ子どもたちとの交流活動を行い、福祉に関わる地域課題について考える機会を創出しました。今後、こうした取組を発展させて、福祉文化と融合した形での町家の利活用による地域活性化モデルを開発し、その成果を空き町家が多く存在する京都府北部における文化・観光交流を通した地域活性化に反映させることを目指します。
近江八幡まちや倶楽部での第1回意見交換会の様子(2012年11月3日)