京都橘大学
3 地域課題調査手法の開発
3‐2:都市要素のデザインサーベイを通して地域環境を検討するプログラム

都市要素のデザインサーベイを通して地域環境を検討するプログラム

平成26年度事業名:街並みのファサードのデザインサーベイ(vol.2)

 本年度は、昨年度に引き続き、街並みのファサードのデザインサーベイをテーマに取り組みます。
 昨今、多くの地域において活性化や景観をキーワードとしたまちづくりが望まれていますが、地域環境を構成する要素は多様なため、その全体像を把握すること自体が困難であります。
 本プログラムでは、①近郊で魅力や特徴ある街区を探し、ファサードのデザインを写真にして収集し、建築的なデジタルデータに変換する作業を行い、これを資料化するとともに単体としての建築ではなく街区レベルの景観として評価することを実践します。また、②参考事例とすべく特色ある街並みの見学会を実施し、地域と建築的視点からの街並みの関係について学習する機会を設けます。
 このようにして、街区のファサードに着目し、街づくり活動を実践するための前提とすべく建築的な視点から地域環境を構造的に理解する能力を育成します。

平成26年度スケジュール(予定)
6月~9月 京都市周辺に対象地区を設定して街並みのファサードを行う
7月 参考事例とすべく特色ある街並みの見学会を開催
8月~10月 収集したデータからデジタル化した図面資料を生成
11月 参考事例とすべく特色ある街並みの見学会の開催
2月~3月 年度事業全体を取りまとめる。

「滋賀県長浜市街地」まちづくり実践についての研修と街並み見学会

<実施日時・場所>
日時:2014年5月31日(土) 10:30 ~ 13:30
場所:滋賀県長浜市 曳山博物館及び中心市街地

講師名:澤田昌宏(長浜商店街連盟まちづくり委員会座長)

市民主体の街づくりによる市街地の活性化と町並み形成の実践について学習するために、「滋賀県長浜市街地」まちづくり実践についての研修と街並み見学会を実施しました。
特定非営利活動法人長浜まちづくり役場の協力を得て,市民主体のまちづくりの経緯について,澤田昌宏氏(長浜商店街連盟まちづくり委員会座長)の講義を受けた後,中心市街地(大手門通り,北国街道等,案内ガイド:まちづくり役場 原田桂氏)の町並み景観保存の状況について見学を行いました。

長浜を題材にして,市民主体の実践的街づくり活動(歴史的背景,組織の立上げ,様々なイベントの立案企画,等)についての概要を学ぶことができました。
また、歴史的建築物を再生した活用実例を見学し,地域性や景観に配慮することの重要性について意識を高めることができました。

H26年度橘大学サーベイ0531①.pngH26年度橘サーベイ0531②.jpgH26年度橘サーベイ0531③.jpg

三重県伊勢市おはらい町 調査

<実施日時・場所>
日時:2014年11月3日(土) 8:30 ~ 18:00
場所:三重県伊勢市おはらい町周辺

伊勢「おかげ横丁」は,地域のリーディングカンパニーよる歴史的景観を保全した小規模店舗分散型の集客施設であり,民間主導で街並み保全と地域の活性化の双方に成功を収めた好事例です。今回は,建築・町並み・歴史的あるいは地域的環境要素についてデザインサーベイを行い,商業的環境開発の側面からまちづくり実践と地域活性の方策について学習しました。

  活気あるまちづくりの成功例を体感することで,環境デザイン的側面から地域整備を推進することの効果や重要性を認識しました。また,歴史的なモチーフを現代的に再構築するデザイン手法について,理解を深める機会になりました。

  この後,収集したデザインの取りまとめと分析を進める予定です。また,作業の進捗によっては,建築模型やパースとしてデザインを検証する取り組みに進みたいと考えています。

サーベイ1103①.jpgサーベイ1103②.jpgサーベイ1103③.jpg

 

まとめ

 街並み景観の要素をデザインシートに取りまとめる作業までは行ったものの,これを具体的なデザインの手法として構築する作業は学部学生にとっては容易ではなく,いまだ至っていない。この先は,事例研究の数を重ねながら,デザイン手法の比較やモデルの製作に加え,それを成し得た街づくり実践の方策にまで踏み込んだ分析を通じて,建築的な視点からの地域環境整備に向けた調査及び提案の能力を育成したい。

 

平成26年度