代表者挨拶

龍谷大学
白石克孝

地方分権時代に入り、地域社会の全てのセクターが公共的活動に関わり、社会的役割を果たす協働型社会の実現が求められています。しかし、産官学民の壁を越えて協働し、「新しい公共」を担う人材育成に向けた教育制度は、これまで十分に整備されませんでした。

こうした課題意識の中で、京都地域では、政策学系列の学部・学科あるいは研究科をもつ大学が連携し、地域公共人材育成を共通する人材育成目標として掲げた、地域公共人材大学連携事業を展開してきました。

地域公共人材とは、「地域社会に関する多様な理論・政策・地域活動を理解でき、地域社会の改革や発展のための計画やプログラムの策定を、主体的に実行することができる知識・技能・職務遂行能力を持った、公共的なマインドを有する人材」です。

大学が地域社会の課題にパートナーの一員となって取り組む仕組みを構築できなければ、地域公共人材の育成は地域社会との結びつきを欠いた、実際性のないものになってしまいます。そこで本連携取組は、必要な大学地域連携に向けて京都府内の9大学と8連携機関がタッグを組みオール京都で戦略的に取り組みます。その目的は、それぞれの大学が地元で先行して実績を積んできた地域連携による教育プログラムのノウハウを、京都府北部地域との連携事業に活かすこと、また同時に、本連携事業自体をアクティブ・ラーニングやキャップストーン科目とすること、このことを一般社団法人京都府北部地域・大学連携機構を通じて組織的に継続的に展開していくことによって、地域活性化に寄与する新たな大学の役割の創出と、大学教育の改革を図っていきます。

本連携取組がモデルとして提示しようとする大学地域連携と大学教育改革の像は、OECD(経済協力開発機構)のLEEDプログラムならびにEUの専門機関CEDEFOP(欧州職業訓練開発センター)と連携・協働しながら、京都地域の特殊モデルではなく、より普遍的な位置づけとして日本、世界に発信していきます。京都という地域社会に深く内在した取組であると同時に、日本における高等教育ならびに高等教育機関の新しいあり方を示す普遍的な取組を目指していきます。

プロジェクトについて