本事業では2013年6月より、OECD(経済協力開発機構)との2年間にわたる協働プロジェクトを正式に開始いたしました。地域再活性化に必要な人材を育成するための教育プログラムや教育システムについて海外の先進事例と比較研究を行い、政策提言を行っていくものです。このプロジェクトを通じて、本事業が取り組む京都府における大学地域連携事業を、日本における大学教育の新たな挑戦として広く世界に発信していきます。
OECD公式ウェブサイト "LEED Programme (Local Economic and Employment Development)"
OECD-LEED&京都チーム協働プロジェクト概要(2013年度)
1. タイトル:「地域再活性化のための技術訓練エコシステム--高齢化社会における雇用促進のための職業教育訓練(VET)イノベーションとポスト・高校教育--」
2. 理論的根拠
今日、人口減少や高齢化・経済不況に伴った地域衰退は著しく、地方分権化の進行によって、地方自治体はパートナーシップと協働に依拠した政策決定と実施を進めようとしている。こうした中で、大学は、地域貢献という新たな役割を果たすことが求められ、同時に、より社会に求められる人材育成のための教育プログラムや教育制度の必要性が指摘されてきた。一方で、高等教育を受けた若者の雇用事情は厳しい。
伝統的に日本では、VETはテイラーメイドな会社員に育成するため企業内で実施されていた。しかし、グローバル化と人口変動により、このVETシステムの改革が必要とされている。このことから、日本においては、日本の教育システムの中に、職能資格制度やVETといったものを取り入れていくことについて検討せざるを得なくなってきている。こうした背景から、京都府では、地域を担う人材育成のための教育システムならびに社会システムを構築するべく、公共課題を研究対象とする政策系学部・大学院をもつ大学が連携し、獲得した能力を可視化するための教育資格制度や教育プログラムを開発してきた。この取り組みは、地域と大学の連携を通じて教育の社会化を目指すものでもある。
一方で、OECD加盟国では、雇用問題改善のために学士レベルの高等教育職業訓練(Higher VET)が推進されている。これらの経験を踏まえ、以下の研究課題を提示することとした。地方都市圏の再活性化とそこに求められる人材育成のために、どのようなスキルアップ戦略や教育システムが必要なのか、特に、地域コミュニティと地域経済の再活性化を実現するために必要な技術訓練エコシステムに注目して検討する。
3. 焦点となる問題
地域コミュニティと地域経済の再活性化を実現するために必要な技術訓練エコシステムとはいかなるものか。この問題に対して、世代間の知識伝承や学士レベルのHigher VETに焦点を当て、大学教育や人材育成のための教育システムの革新の可能性を探る。
京都府北部の自治体と大学のプラットフォームである京都府北部地域・大学連携機構の取り組みや、京都北部で展開する大学地域連携事業を事例に、これからの地域社会・地域経済をささえるより高度な人材育成を実現していくために必要な大学教育の在り方、あるいは地域再活性化に貢献するための大学機能について検証する。そして、VETのイノベーションや、地域コミュニティと大学間の連携による大学教育改革に取り組み事例について先進的な知見のある国際的な専門家をヨーロッパやアジアから招聘し比較研究を実施する。同時に、特に高齢化が進む地域社会において、高齢者の熟練技術や知識の新世代への伝承や地域の需要にマッチした技術開発など、地域社会の高齢者の役割を作り出すような世代間知識伝達(VETも含む)を促進させるための大学の役割について検証する。これらを通じて、持続可能な地域社会・地域経済づくりに必要な教育システムの可能性を探り、地域における大学の新たな役割を提示する。
4. 事業パートナー
京都府
文部科学省 大学間連携共同教育推進事業(地域社会再活性化)
文部科学省 大学間連携共同教育推進事業(地域経済再活性化)
龍谷大学
LORC (龍谷大学 地域公共人材・政策開発リサーチ・センター)
京都産業大学
大学間連携共同教育推進事業メンバー
京都府下の9大学(龍谷大学、京都産業大学、京都大学、京都府立大学、同志社大学、京都橘大学、佛教大学、京都文教大学、成美大学)
京都府、京都市、京都市景観・まちづくりセンター、京都商工会議所、京都経済同友会、京都経営者協会、京都工業会、COLPU、CUANKA、京都NPOセンター、大学コンソーシアム京都、グローカル人材開発センター
5. シンポジウムの開催
開催日:2013年12月12日(木)
場所:京都産業大学 むすびわざ館
内容:
1) 世界のHigher VETや高等教育の傾向について―地域連携の先進的取組みついての講演(韓国、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、ポーランドより専門家の招聘予定)
2) 京都府北部地域・大学連携機構の取組みの報告
3) グローカル人材開発センターの取組みの報告
6. スタディ・ツアー
開催日:2013年12月13日(金)
場所:京都府の里山・ジョブパーク
※(シンポジウム開催についての詳細は、改めてお知らせをいたします。)