本プログラムは、「地域コトおこし事業」として、アーツマネジメント手法を用いた文化的資源の発掘と開発、それらを用いた多彩なアーツ表現などを通じて、地域社会の繋がりを広げコミュニティ意識を深めるため、それに必要な教育・学習プログラムを、京都市山科醍醐地区を中心としつつ京都府下等で開発・展開するものです。
美術領域から出発したコミュニティアーツを、音楽やダンス演劇などの実演芸術まで拡大した「アウトサイダーアーツ」という新しいコミュニティアーツ分野の開発を行います。現在のアーツマネジメントの理論と実践において蓄積された手法を用い、さまざまなワークショップの開催やファンドレイジングやソーシャルメディアの活用などを試行していきます。
そして、その開発を通して、地域の人びと、とりわけ、子供や高齢者、あるいは、心身に障碍のある住人の生活の質の向上や、まちの人たちのアーツを通した交流・繋がりを高めることを目指します。すなわち、先駆的なアーツの開拓と地域福祉文化コミュニティのマネジメントをリンケージすることによって、地域の企業、福祉組織、学校、各種公的団体、NPOはじめとする市民活動グループなど各種組織間を柔軟にネットワークするためのネットワーク人材としてアーツ関係者と学生・院生が担っていくことができます。
2014年度は、2012年度から実施しているめくるめく紙芝居プロジェクトを核とした「アウトサイダーアーツによる文化創発地域実践型教育」を引き続き主要な活動内容とし、「文化創発地域実践型教育を活用した資格プログラムの試行とコミュニティアーツのカリキュラム化」というテーマとして包含することで、地域の公共的文化人材教育のためのプロトタイプ開発を行います。
平成26年度スケジュール(予定)
5月~6月 地域公共政策士関連科目のための文化現場活用プログラムの企画と実施
7月~10月 めくるめく紙芝居本公演に向けてのワークショップを開催するとともに公演の準備作業を進める。
11月 山科青少年センターにおいて、めくるめく紙芝居の本公演を実施
12月 コミュニティアーツに関わるワークショップ開催(ダンス関係)
1月~3月 コミュニティアーツに関わるワークショップ開催(音楽・美術などから選択)
2月 シンポジウムの開催
<実施日時・場所>
日時:2014年4月26日(土)13:00~16:00
場所:京都市立山科青少年活動センター大会議室
この日のワークショップは、自己紹介ワークショップとセンター周辺を歩いて、落ちているものを拾ってきて、それを使った紙芝居の制作を実施しました。
自己紹介のワークショップでは、紙に名前を書き、全員が書き終わったら1人ずつ名前を紹介していくというルールだけを設定し、制作をはじめました。自発的に似顔絵を描きはじめたり、自分の好きな食べ物を描きはじめるということが起き、それが全体に伝わり、嫌いな食べ物や好きな芸能人など、自由に描くことが広がり面白いものになりました。
その後は、ワークショップ会場近くをみんなで歩き、道に落ちているものを拾って、それらとマスキングテープを使った「モノ芝居」を行いました。拾ってきたものの形や色などから連想し、1人の思い付きから多くのことを連想して「モノ芝居」をつくっていきました。
<実施日時・場所>
日時:2014年5月10日(土)14:00~17:00
場所:京都市立山科青少年活動センター大会議室
ゴールデンウィーク明けとのことで、連休中のできごとを身体で表現してみるというワークショップをしました。まずは、紙に絵や字でエピソードを表現し、1人1人発表を行い、できごとの共有を行いました。
その後、4つのグループに分かれて、どれか1つ以上のエピソードをグループのメンバーで表現して作品にしてみました。
美術館や動物園に行ったことなどゴールデンウィークの楽しい思い出もあれば、引っ越しをしたため作業で大変だった、繁盛期で仕事だったなどの思い出もあり、色々な表現があり、面白いものになりました。
最後は、グループで作った4つの作品を少し編集をして1つの作品にし、みんなで表現にすることまで行いました。
実施日時:2014年6月15日(日)14時~16時
実施場所:上七軒歌舞練場及び上七軒界隈
参加者数:58名
講師名:大田当主(公益財団法人有斐斎弘道館代表理事・花街文化研究会代表)
内容:
京都市の協力を得て、上七軒歌舞練場及び上七軒界隈の視察を実施しました。
まず、はじめに上七軒歌舞練場にて、京都市役所の京都創生推進部長より、京都市が取り組んでいる、京都の景観や伝統、文化の継承や創造するという京都創生事業についての講演や大田当主から「花街の文化」というテーマで講演をしていただきました。
文化のはじまりが宴会であること(秩序の崩壊、コミュニティのケア・保持のために宴会を実施。そして宴会にて「芸能(踊りや歌など)」が生まれる。)などのお話を聞くことができました。
その後、歌舞練場の見学や上七軒界隈で取り組まれている京都創生事業(景観への取組)を視察するため、まち歩きを行ないました。
文化のはじまりや文化とコミュニティの関係についての知識の獲得ができました。京都市内の地域的文化環境について、特に今回は学生自らではなかなか足を運ばない貴重な場所で視察をすることが可能となり、より文化環境の知識を得ることができ、また自ら化と都市(地域・コミュニティ)、プロデュースと環境デザインの関係を考えるきっかけとなりました。
<実施日時・場所>
日時:2014年7月26日(土)13:00~16:00
場所:京都市立山科青少年活動センター和室
講師:浜田 優(ダンサー)
講師にダンサーの浜田さんをお呼びしました。この日のワークショップのテーマは「釣り」。
身体を使って、「釣り」をしてみました。
まずは2人1組になって、お互いに「釣り合い」をしてみました。手や足、胴体だけでなく、釣りたいモノ・人を観察するということにも気をつけます。
そして、今、釣りたいモノ・人をイメージして釣って、魚拓をつくるということを行いました。今後、このワークショップを発展させていく予定です。
<実施日時・場所>
日時:2014年8月9日(土)14:00~17:00
場所:NPO法人わくわく事務所
この日のワークショップは、イギリスから帰国したばかりの参加者がいたので、「イギリス」をテーマにお絵かきのワークショップを始めました。
1つの絵から連想され、多様なものが紙に描かれていきます。
最後は、描かれた絵を1つずつみていき、お話をつくったりと発展させていきました。
<実施日時・場所>
日時:2014年9月20日(土)13:00~16:00
場所:NPO法人わくわく事務所
この日のワークショップは、わくわく新事務所の看板作りと活動スペースの名称を決めました。名称は様々な候補の中から投票で支持の多かった2つを組み合わせた「わいわいハウス ポラキナソタ」に決定しました!
看板は絵を書いたり、マスキングテープで切り貼りして絵や柄を作ったりしていきました。
11月に山科青少年活動センターで実施されるやませいまつりに向けて、今まで実施してきたワークショップをもとに企画することを進めていきます。
<実施日時・場所>
日時:2014年11月2日(日)13:00~16:00
場所:NPO法人わくわく事務所
講師にダンサーの浜田優さんとMuDAの秋山はるかさんをお呼びし、11月9日に京都市山科青少年活動センターで開催される「やませいあえるフェスタ」に出展するための準備を行いました。ワークショップタイトルを「世界の海からぎょぎょぎょぎょ〜」と決め、紙などで魚介類を制作し、物語を作ったり、身体を使ってみたりして世界の海を体験するという内容を企画することにしました。看板を作成、魚介類の作成、海の作成などを行いました。
<実施日時・場所>
日時:2014年11月9日(日)10:00~16:00
場所:京都市立山科青少年活動センタースポーツ室
京都市山科青少年活動センターで開催される「やませいあえるフェスタ」にて、「世界の海からぎょぎょぎょぎょ〜」を出展しました。学生やめくるめく紙芝居参加者はワークショップ参加者の制作補助やファシリテートの補助をしながら、フェスタに訪れた地域の人たちと一緒に、作品制作を行いました。
<実施日時・場所>
日時:2014年12月13日(土)13:00~16:00
場所:NPO法人わくわく事務所
講師:秋山はるか(MuDA)
まずは、楽器などを出して、自由に音を鳴らしたりしてワークショップをはじめる準備体操をしました。その後、クリスマスが近いということもあり、クリスマスソングのメロディを使って、音楽をつくることにしました。
歌のテーマを活動場所としている「ポラキナソタ」とし、「山科といえば〇〇」、「ポラキナソタ近くといえば〇〇」というように、キーワードとなる言葉や文章を挙げていく作業をしました。例えば、山科には琵琶湖疏水があるやポラキナソタ近くの川ではホタルが見れるなど、言葉が出れば、またそれに関連した言葉が出てくるという創発的なものになりました。
そして、その言葉や文章をもとに、2つのグループで歌を作成しました。1つのグループは、ポラキナソタの道案内的な歌に、もう1つのグループはポラキナソタのことについての歌になりました。どちらも偶然にサビになる部分に「ポラキナソタ」という言葉が入るという面白い部分も見受けられました。
このように地域やその場所についてのテーマソングの作成を自分たちですることで、より地域への愛着が生まれることであるのではないかと思わせるワークショップになりました。
<実施日時・場所>
日時:2015年1月25日(日)13:00~16:00
場所:NPO法人わくわく事務所
講師:秋山はるか(MuDA)、高橋誠司(無職研究所)
紙にそれぞれ絵を描き、物語を考えるワークショップを実施しました。また、2月のワークショップ、3月のシンポジウム・ワークショップに向けてのアイデア出し、打ち合わせも実施しました。
<実施日時・場所>
日時:2015年2月28日(土)13:00~16:00
場所:山科駅周辺~毘沙門堂
講師:秋山はるか(MuDA)、高橋誠司(無職研究所)、浜田優
テープレコーダーを用いて、山科駅周辺から毘沙門堂までのまち歩き中にまちの音の収集を行うワークショップを実施した。参加者の1人が、ナレーターのように街の状況を伝えつつ、その場にある石や水などを鳴らした音を、テープを巻き戻したりして自ら音を制作士し、録音するということを行いはじめた。それが他の参加者にも影響を与え、より面白い表現ができてきた。
また、「音」を集めることがきっかけで、より注意深く「まち」を観察することになり、今まで知らなかった側面を発見することもでてきて、面白いワークショップとなった。
<実施日時・場所>
日時:2015年3月15日(日)10時30分~16時00分
会場:ラクトスポーツセンター6階 コミュニティルーム
講師:秋山はるか(MuDA)、高橋誠司(無職研究所)、浜田優
部屋の明かりを消して、薄暗い中、2月に録音した「音」を流しながら、絵を描くワークショップを実施した。
音に触発された絵を描いたり、即興で音を制作し、その場でテープレコーダーへ録音するということが起きる場となった。
その後、今年度の総括と次年度以降の「コミュニティアーツを活用したまちの繋がりと文化創発」に資するため、地域公共人材開発にいかにこのような文化創発企画が役立つかを検証するシンポジウムを行った。
地域には、多様な背景を持つ人たちがいるということ、様々なコミュニティが存在するということの認識ができる場として、めくるめく紙芝居がよりなっていくことが必要であるという結論になった。