本プログラムでは、2012年度・2013年度に行った清水焼試作品のマーケティングリサーチプロジェクトで開発した手法をもとに、伝統産業をベースに他の産業にも対象を広げ、経営的課題・地域的課題の研究を行い、地域企業の活性化を図るためのマーケティング開発や組織マネジメントについて学修します。
今年度は、山科地区の地域としての認知度ならびにブランド力の向上に向けた地域産業の調査を中心に行います。
平成26年度スケジュール(予定)
6月中旬 アンケート調査のための学修、マーケティングや組織マネジメントの学修
6月~9月は論文や書籍を用いて、地域資源や地域活性化に関する先行研究の検討などを行いました。9月からはアンケート調査を行うために定量調査についての文献を読むなどをして研究を行いました。またそれに合わせて、京都市山科地域を中心に地域のことについての調査を文献等を用いて行いました。
10月末より、企業の下調べを行っています。
また企業に配布する質問票を作成する作業へと現在、取り掛かっています。
9月~12月の間にアンケート作成に向けた知識の学習やアンケートの作成に向けた取り組みを実施した。アンケート作成にあたっては、全体的な手順やどのように質問項目を作成するかに関する知識をまず知っておく必要があるため、アンケート調査の実施方法に関する文献を通じて、これらの知識を学習した。11月に入るとアンケートの作成、配布に向けた準備をおこなった。アンケートでは、地域企業に対する地域資源の利用状況ならびに、地域資源の利用と企業の業績の関係を問う質問項目が盛り込まれた。また、配布企業については京都市南部に位置する南区、伏見区、山科区に本社が所在する企業とし、学生で手分けして企業名、住所をリスト化していった。最終的に、アンケートは上記の3区に所在する1436社に、2014年12月31日を回答期限として配布した。
12月~1月はアンケートの回収と分析を行った。アンケートの回収期間中は分析手法に関する学習を行った。アンケートの分析はSPSSを使用して行うため、SPSSを用いた分析の行い方に関する文献を通じて、SPSSの基本的な使い方や初歩的な分析方法に関する知識の学習を行った。
アンケートは2014年12月~2015年1月にかけて回収した。206サンプルが回収され、最終的な有効回答数は190サンプルとなった(回収率13.2%)。回収したアンケートは、学生で手分けしてExcel にデータ入力を行ったうえで、入力データを SPSSに取り込んだ。その上で、統計的な分析を実施した。
本プロジェクトを通じて行われたアンケート調査・分析を通じて、山科区をはじめとした京都市南部地域の企業における地域資源の活用状況が明らかとなった。また、地域資源の活用と企業業績については関連性が見られなかったが、地域資源を活用しない理由について、「自社の事業と関わりがないから」という回答以外に、「地域資源の活用の仕方が分からない」と回答した企業が多く見られた。このことは、地域資源の活用方法の考案次第では、地域資源の活用が伸びる可能性を持っていると考えられる。
本プロジェクトを通じて、学生としてはアンケート調査を実施する際の一連の手続きを経験することができた。また、1400社を超える企業を対象とし、これらの企業を対象としたアンケートの送付・回収・分析の作業を通じて、日常的に生活している地域にこれだけの多種多様な企業が存在していることを知ることができた。このことは、学生自身の地域に対する理解を深めるきっかけとなったと言える。
一方で、今回のプロジェクトでは学生が主体的にプロジェクトに取り組む機会は限定されていた。これは、本年度は企業活動や地域資源の具体的な利用の仕方を探求する前段階のアンケート調査を実施したことによる。この点については、本年度の成果を踏まえ、地域資源の活用に関するより掘り下げた検討を行う中で、学生がより主体的に取り組めるようプロジェクトを設計する必要がある。