平成25年度事業名:清水焼の試作品のマーケティングリサーチ
伝統産業の継承には、文化財としてだけではなく、普及品としての存在が不可欠であり、普及品によって伝統産業の理解の裾野が形成されます。さらに、今後、陶磁器においても世代別のライフスタイルに応じた商品開発も求められており、どうしても若い世代の関心を高める必要があります。
本プログラムは、京都市山科区を中心とした伝統産業地区との連携により、マーケティングを実践的に適用することで、京都の伝統産業を活性化することを目的にしています。特に、京都の清水焼を題材として、演習形式の授業や学生主体の研究会などにおいて、伝統工芸品の商品企画やマーケティングリサーチを通して、マーケティングの実践教育を推進します。本年度は、昨年度に清水焼の新商品として企画・開発した試作品のマーケティングリサーチを実施するために、まずは試作品の特徴を整理するとともに、マーケティングリサーチについて学修します。さらに、陶器の試作品の評価にふさわしい消費者調査を具体的に企画し、さらに学生が調査員として実地調査を行います。その消費者調査によって得られたデータを分析し、商品のプロモーション資料や分析結果を報告書やプレゼンテーション資料としてまとめます。
平成25年度スケジュール
4月 マーケティングリサーチの学習
清水焼の試作品の消費者調査に向けて、マーケティングリサーチについて学びます。
5月 商品コンセプトの整理
陶芸家に製作して頂いた試作品を実際に見ながら、商品コンセプトを整理します。
6月 プロモーション資料の作成
実際の試作品の画像や商品コンセプトを使って、試作品のプロモーション資料を作成します。
7月 消費者調査の企画
清水焼の試作品の消費者調査を企画します。
9月 消費者調査の実施
清水焼の試作品の消費者調査を実施します。
10月 データの分析
清水焼の試作品の消費者調査データを分析し、分析結果を取りまとめます。
11月 報告書の作成
これまでの本プログラムの取り組みを報告書として取りまとめます。
2012年度に、①伝統産業に対する理解を深めることおよび②伝統工芸品の新商品を企画開発することの段階に取り組み、清水焼の試作品の企画・開発を進めました。最終的に、「手型アクセサリー置き」「舟形スマホスタンド」「水車型テープカッター」「大文字ランプシェード」の4アイテムの試作品の製作を陶芸家に依頼し、試作品を作りました。
手型アクセサリー置き
舟形スマホスタンド
大文字ランプシェード
水車型テープカッター
本年度は、2012年度に清水焼の新商品として企画・開発した4アイテムの試作品のマーケティングリサーチを実施しました。
まずは試作品の特徴を整理するとともにマーケティングリサーチについて学修することからはじめました。さらに、陶器の試作品の評価にふさわしい調査を具体的に企画し、さらに学生が調査員として実地調査を行いました。その上で、調査によって得られたデータを分析し、商品のプロモーション資料や分析結果を報告書として取りまとめを行いました。
・試作品のプロモーション資料の制作
仮に試作品を新商品として販売するとしたら、どのようなプロモーションをすべきかについて検討を行いました。その検討においては、試作品のブランド名を決めたり、プロモーション資料で用いる写真を撮影したりすることからスタートしました(2013年6月3日)。
広告を制作する際に、ストーリーボード(絵コンテ)を使って、ストーリーの展開を検討することが一般的であるため、そこで、ストーリーボードを用いて広告の展開の検討を進めました(6月10日)。その上で、簡易的ですが、パワーポイントを使ってプロモーション資料の制作を行いました(6月17・24日)。
・清水焼のマーケティングリサーチの企画・実施
酒井隆(2003)「図解アンケート調査と統計解析がわかる本:アンケート調査の企画・実査・集計から統計解析の基本と多変量解析の実務まで」(日本能率協会マネジメント)を輪読し、リサーチに関する基本的な学習を行いました(4月22日・29日・5月13日)。
清水焼の試作品4点およびそれらのプロモーション資料について、第三者の評価を得ることを目的とし、アンケート調査を企画しました。アンケートの調査票を作成するに先立ち、試作品およびプロモーション資料の評価に必要となる質問項目をブレーンストーミングで抽出し(7月1日)、それを調査票の原案に整理し(7月8日)、それをベースに修正しながら(7月15日)、最終的に調査票を完成させました(7月22日)。
後期に入って、調査票の最終確認をし、調査員4名を選定しました(9月23日)。調査は、2013年9月26日に実施した。調査員が調査票の配布・回収を行い、その結果、合計68件の標本を回収することができました。
・データ分析および報告書の作成
収集した調査票は、Excelにデータ入力を行ったうえで、ダブル・チェックを実施しました(10月7日)。入力データをSPSSという統計解析用ソフトに取り込み、SPSSの基本的な使い方を学んだうえで(10月14日)、各試作品に関する度数分布表や棒グラフ・ヒストグラムを作成したり(10月14日)、平均値や標準偏差などの記述統計量を商品ごとに比較したり(10月21日)、回答者属性や全体に関わる質問項目の分析を進めました(11月4日)。
グループ単位で、分析結果にコメントを付け、報告書の内容に取り組み(11月11日)、コメントの修正を繰り返し(11月18日)、報告書最終原稿の読み合わせをしつつ校正を行い、報告書を完成させました(11月25日)。