本学の位置する北近畿エリアをはじめ、ニッポン全国の地方都市・農山漁村はどこも少子高齢化や地域経済の活力低下という社会的問題に直面していますが、これら諸課題に対する解決策の一つとして「田舎」の持つ内発的発展力が注目されています。
そこで、昨年「田舎力甲子園」と題して全国の高校生から地域活性化策のアイデアを募集したところ、北海道から鹿児島まで計21校165点の応募があり、大変ご好評をいただきました。今年は大学生も対象として、以下の通り実施いたします。(但し、メンバーの半数以上は高校生とする。)
新たな田舎料理・スイーツ等の開発、SNS等インターネット活用による地域情報の受発信、グリーン・エコ・ヘルス・スポーツ・アニメ等の「ニューツーリズム」や自然エネルギー利用による地域再生プラン等、内容は自由です。ご応募をお待ちいたしております。
詳しくは成美大学H.Pをご覧ください。
8月3日、本学のオープンキャンパスにあわせ、「田舎力甲子園」表彰式・記念シンポジウムが開催されました。
「田舎力甲子園」とは、本学が2013年度より実施している、全国の若者による地域活性化策を募集するコンテストで、今年度で2回目の開催となります。
今年度は、北は北海道から南は九州まで、全国から62策の応募があり、以下のとおり受賞作を選定しました。
元気のおすそわけ「北高ストア」発酵食の里を目指す〜米の花を紡ぐ物語〜
(静岡県立藤枝北高等学校 総合学科11名)
Social Community Brand 〜コミュニティーで地域活性化〜
(宮崎県立小林秀峰高等学校 商業科・経営情報科3年11名)
農村ウェディング〜最高の幸せをあなたに!〜
(青森県立名久井農業高等学校 都市農村交流研究班4人)
岐阜養老応援プロジェクト (岐阜県立大垣養老高等学校 食品科学科 食品科学班4人)
6次産業で地域活性化を図る〜地域観光で地域の魅力を発信する〜
(兵庫県立氷上高等学校 商業科3年8人)
地域循環型農業を目指して〜竹資材と微生物を活用した私たちの取り組み〜
(熊本県立鹿本農業高等学校 バイオ研究会5人他)
菊+マーケティング=キーくてぃんぐ (北海道北見商業高等学校 マーケティング同好会6人)
心理学から町おこしを考える (群馬県立中央中等教育学校5年 坂田風樹)
アメリカ政策 (桐蔭学園高等学校 理数科2年 佐藤悠己)
自然体験!田舎体験!ホームステイ
(新潟県立国際情報高等学校 国際文化科2年 秋山・安部・高橋・山田)
ののの弁当(みの弁当) (岐阜県立武義高等学校 後藤・古田)
田舎でいいもん!幸せいっぱい!SEINOUマカロン!〜西濃の味を楽しめ〜
(岐阜県立大垣養老高等学校2年 小寺涼香)
全国の田舎の力でエネルギーと食料対策 (福知山成美高等学校 普通科3年 渡辺瑛人)
福知山の現在と未来 (京都府立綾部高等学校 普通科2年 垣尾夏音)
『ニッポンの未来をかえる里山活用計画』〜「ウィードの森」再生プラン〜
(京都府立須知高等学校 普通科2年9人)
愛媛・学校サバゲーin双海 (愛媛県立伊予農業高等学校 農業クラブ11人)
『私たち嶺北ECOFLUGELSから、中山間地活性化の提言。』
(高知県立嶺北高等学校嶺北ECOFLUGELS 14人)
長崎かるた (活水高等学校 普通科3年 濱・平松・紀・橋・福田)
20世紀は大都市の時代。ところが20世紀末から世の中は大きく変わってきた。21世紀は地方都市・農村圏との2本柱にならなければいけない。大都市と地方都市・農村圏の並存は国家的テーマであり、先進国の多くは大都市と地方都市・農村圏が並存しているが、日本はそうなっていない。
例えばデンマーク。首都のコペンハーゲンは大都市だが、それ以外はほとんど小都市か農村である。
地方都市や農村が元気なまちであることが大切。北近畿をそのモデル地域にしたい。皆さんの住んでいる町も日本のモデルになってほしいと思う。
皆さんの取り組みに感謝する。
学生2名からの歓迎の挨拶の後、最優秀賞、優秀賞各1策、佳作4作、そして、奨励賞については今回授賞式に参加された5策について表彰式を行いました。
受賞の喜びのコメントや、応募策を考えるに至った背景や取り組みの紹介、また内容のプレゼンテーションを行う受賞者もあり、配布された受賞策が所収された資料集とともに、大変熱のこもった授賞式となりました。
「若者と田舎力」をテーマに、塩見直紀氏(半農半X研究所代表。「田舎力甲子園」審査委員副委員長)、尾家建生氏(大阪府立大学観光産業戦略研究所客員研究員「田舎力甲子園」審査委員)、矢島正枝(本学教授)のパネリスト3名で受賞策の審査講評をふまえながらコメントしました。
尾家氏からは、今回の応募には食をテーマとした観光「フードツーリズム」につながりうるものが多かったこと、Think global Act localという言葉が、これからは「Think global Respect local」。田舎には「本物」があり、本物の食べ物、風景を求めて人が訪れるのではないか、というコメントがありました。
塩見氏からは、「組み合わせの観点」から、「核心を突くこと」「本質に迫ること」「先人の知恵と若い感性」「荒削りな若さ」「名付けの魔法」「どこにもないもの」といったキーワードに沿って受賞策の講評とコメントがありました。
矢島氏からは、受賞校の皆さんの共通点は「行動力がある」ということがある。自分の地域の魅力を知っているということは、(地域にとって)貴重な人材である。今回応募された方々には基礎学力プラス人間力を磨いてほしいというエールがありました。
最後にコーディネーターを務めた中尾誠二本学准教授からは、今回のパネルディスカッションのテーマである「若者と田舎力」は言葉を入れ替えると「若者力と田舎」としても議論できる。「危機感」は年齢とともに薄れてくるものだと思う。「危機感」を基に「希望に満ちあふれた将来」をどう考えるか。これには「若者力」が必要だというまとめがありました。
富野暉一郎氏(龍谷大学教授。「田舎力甲子園」審査委員委員長)
皆さんの提案を見て、若い人たちが地域のことを考えていることをうれしく思った。問題意識を持って、イノベーションにつなげることが今の日本に求められること。地域のことを思い、みんなで作り出していくということが大切だ。
今里滋氏(同志社大学教授。「田舎力甲子園」審査委員副委員長)。
皆さんの地域に対する思い、愛情に心を動かされた。私が高い評価を与えた提案は高校のレベルを超えているものであった。もうみなさんは地域でビジネスを始めても大丈夫なくらいだ。皆さんのような人が地域に残り、地域を「宝の山」にかえてもらいたい。