当プログラムでは、成美大学が立地する京都府北部地域を含む北近畿地域における農山漁村をフィールドとしたゼミや授業を通して、地域の課題発見や課題解決に向けた協働事業を展開するなかで、アクティブ・ラーニングの開発を行っています。
本学では、平成24年度より福知山市三和町大原うぶやの里活性化推進協議会、同大江町毛原自治会の2地域団体と「京の景観パートナーシップ協定」を締結し、地域の良好な景観の保全及び地域活動等のより一層の推進のため、地域と大学とが連携した取組を進めています。
過疎化、高齢化、有害鳥獣被害、地域に伝わる伝統文化の継承者不足といった様々な課題を抱える農山漁村において、学生が地域に入り、状況を観察し、地域づくりの担い手の方々との交流することを通じて、地域の魅力や課題について知り、地域の人たちと共に考えながら、魅力の高め方や課題解決の方策を提示できるようになることを目標としています。
平成25年度実施の事業は以下のとおりです。
安産信仰と俳句の古季語「大原志(おばらざし)」で知られる大原神社と、かつて出産場所であった産屋(うぶや。いずれも京都府指定文化財)を中心とした福知山市三和町大原地区では、京都府景観資産への登録を目指し、2011年、地域の美しい景観を「大原八景」として選定しました。現在、地域の美しい景観資産を活かすために地域が一体となった取組を進めており、成美大学も連携・協力しています。
4月29日(月祝)
大原神社春季例大祭の準備手伝いに滋野浩毅ゼミ4回生4名が参加しました。さわやかな快晴の空の下、テント建てや提灯を提げる柱の設置等に汗を流しました。
5月2日(木)
大原神社絵馬殿で開催された宵宮に滋野ゼミ4回生5名が参加しました。5月に入ったとは思えない寒い夜でしたが、落語やビンゴ大会で盛り上がる宵宮の雰囲気を味わいました。
5月3日(金祝)
朝早くから、滋野ゼミ4回生6名が大原神社に集まり、春季例大祭「うぶやの里フェスタinみわ」で盛り上がる大原神社とその周辺の様子を観察しました。今年は5年に1度の練り込み行列※が執り行われ、より一層華やいだ雰囲気がある中、昨年同様、神輿渡御に参加し、お神輿を担ぎました。今回は滋野ゼミ生に加え、「北近畿観光論」の受講生4人も加わりました。
※練り込み行列:大原神社本殿が寛政8(1796)年に再建されたのを祝い始まったとされている。勇壮な奴振りを先頭に、撥さばきあざやかな前太鼓、音頭、三味線など50名の奉仕により神社から御旅所までの道程を練り歩く。
5月26日(日)滋野ゼミ6名が参加しました。
田植えの準備の手伝いの後、京都からバスツアーでやってきた子どもたちと共に田植えやサツマイモの苗植え体験を行う中で、お祭りやイベントの運営ならびに地域課題の観察を行いました。
9月8日(日)、滋野ゼミ4回生5人が参加しました。
京都からバスでやってくる人たちに農山村の魅力を味わってもらうための都市農村交流イベント「質志鐘乳洞と大原八景 with ネパール音楽」(主催:大原うぶやの里活性化推進協議会、質志鐘乳洞公園協力会)のスタッフとして、農産品販売ブースの手伝いや、演奏会のチケット販売等を行いました。
学生たちは、ブースの設営、商品の陳列、販売等に携わりながら、地域の方々やツアー参加者の方たちとコミュニケーションを取ったり、イベントの様子を観察したりしていました。
10月27日(日)、滋野浩毅ゼミ4回生6人が参加しました。
大原神社の本殿で執り行われる「新嘗祭」への参列、サツマイモの収穫、京都からバスツアーでやってきた子どもたちの歓迎行事、餅つきなどにかかわり、イベントの実行委員会のメンバーと共に汗を流しました。
この他にも、大学とフィールドが近いという利点を活かし、地域で行われる会議や寄合にも頻繁に参加することで、地域づくりの現場の臨場感に触れる機会を作っています。
大原うぶやの里活性化推進協議会と連携し、2年度間行ってきたフィールドワークの成果を踏まえ、4回生は卒業論文を執筆していく段階に入っています。多くの学生が、フィールドワークで得られた知見や課題、地域に対しての具体の政策提案を「フィールドワーク報告書」としてまとめる予定です。
福知山市大江町毛原地区は、棚田の広がる里山の景観が有名で、「日本の棚田百選」にも選ばれています。
また毛原地区では、美しい棚田を保全し、後世に遺していくために、都市農村交流を積極的に行っています。たとえば、地域住民と棚田の「オーナー」との共同作業により農作業体験を行うとともに、収穫したお米がオーナーのものとなる「棚田オーナー制度」や、「毛原の棚田『taikan』ツアー」と銘打った田植え体験会や稲刈り体験会といったことを実施しています。
なお、2012年度より、成美大学との連携も行っています。
7月14日(日)、中尾誠二3回生ゼミならびに「グリーンツーリズム論」受講生有志4名と、成美大学地域公共政策士資格教育プログラム「地域経営・観光プログラム」の科目である「地域経営・観光原論」の受講生3名が、毛原自治会が実施する有害獣防除ネット設置作業のアシスタントとして、山に入り、測量やネット設置場所を地図上に落とし込んでいく作業等を行いました。
当日は時折雨の降るあいにくの天気でしたが、農山村が抱える厳しさを身をもって体感する機会となりました。
12月8日(日)、滋野ゼミ4回生3人が、新春を迎えるにあたって、隔年で付け替えられる大原神社のしめ縄づくりの手伝いを行いました。しめ縄づくりは、大原神社の氏子や地元老人会、大原うぶやの里活性化推進協議会に本学の学生が加わり、早朝から大原神社の絵馬殿で稲わらをないやすいように不要な部分を取り除いたり、槌で打って柔らかくしたりして、昼前には立派なしめ縄がない上がりました。
学生たちは、稲わらの不要な部分を取り除く作業や、ない上がったしめ縄を大原神社本殿の他、境内にある火之神神社、水門神社に取り付ける作業に携わりました。
なお当日は、新聞ならびにテレビの取材が入り、記事掲載ならびにニュースとして放映されました。
12月14日(土)、滋野ゼミ4回生6人が、京丹波町にある「京丹波自然工房」の見学を行いました。
「京丹波自然工房」は、本学と「京の景観パートナーシップ協定」を結んでいる大原うぶやの里活性化推進協議会のメンバーの方が立ち上げたシカやイノシシ等の食肉処理施設です。農業者の高齢化や狩猟者の減少に伴い、農山村地域において鳥獣被害が深刻化していることは、これまでのフィールドワークでも学んできましたが、こうした地域課題を解決しながら、地域の資源を活用しビジネス化していく現場を見学したいというゼミ生の希望に対し、今回特別にご厚意で見学させていただくことになりました。
お邪魔した時は、ちょうどその日に山で採れたばかりのシカが運び込まれ、解体されるところでした。その作業に興味津々な学生、また思わず顔をそむける学生もいましたが、こうして解体されたシカやイノシシが、徹底した衛生管理のもとで食肉の形まで加工される工程の説明を受けたり、その施設をのぞかせていただけるまたとない経験となりました。
たくさんの方のご参加をお待ちしています。