2015年3月17日
【実施報告】 3月16日17日京都北部地域調査

3月16日(月)17日(火)、京都市北部地域の自治体間連携および人材育成計画に関する聞き取り調査を目的とし、関連自治体を訪問した。

1.スケジュール

3月16日(月)
  14:00-15:00 三和町管内視察(大原神社ほか)
  15:00-17:00 福知山市役所三和支所にてヒアリング
3月17日(火)
  9:30-11:00 宮津市役所にてヒアリング
  11:30-12:00 宮津バイオマスエネルギー製造事業所視察
  14:00-15:30 京丹後市役所峰山庁舎にてヒアリング
  15:30-16:30 高機能性シルク研究開発利用促進施設(旧溝谷小学校)視察

2.ヒアリング内容

(1) 福知山市役所三和支所

対応者: 岡部成幸 氏(地域振興部、三和支所支所長)、芦田直也 氏(福知山市市長公室企画課)
場 所: 京都府福知山市三和町千束515

 岡部所長より、27年度4月に設立予定の三和地域協議会についての説明を受けた。同協議会は、「みわまちづくり協議会」(H25.10-)「三和地域協議会設立準備会」(H26.10-)での協議をへて、地元21自治会の同意のもと設立が決定された。同協議会は、執行組織である常任委員会(事務局3名)のもと、地域活力部会、地域基盤部会、定住促進・情報発信部会の3部会で構成されている。同協議会の活動は既存の住民組織を議論の場に取り込み、「住民自身が地域の将来像を考え、その実現に向けて行動する」地域政策課題検討の基盤となることが目的とされている。三和地域では、人口の減少、高齢化、少子化が進展しており、地域の担い手の確保が課題となっている。そこで協議会では、すでに三和で活動している団体のネットワーク化や情報発信・広報、イベント等を通じて、定住・移住を促進しようと考えている。また、遊休施設の活用や利用しにくい地域交通システムの再編が課題となっており、今後住民の間であるべき地域像を議論する場を協議会が設けていく。

(2) 宮津市役所

対応者: 井上正嗣 市長 他2名
場 所: 京都府宮津市字柳縄手345-1

 はじめに、宮津市の井上市長より説明がなされた。宮津市は、2014年5月に国の地域活性化モデルケースの選定(全国33団体)を受けたことを弾みに、2015年1月中旬に「地域再生計画」の認定申請を提出し、国の第1号認定(全国21地域)を受けた。宮津市は、「みやづビジョン2011(平成23年~H32年)」が後半期に入っている。宮津市は、人口減少(2025年人口で15,000人割れ)、少子高齢化(高齢化率40%)、観光業(実質年間150万人来訪)、小売業販売額(約300億円(平成6年)から約200億円(平成19年)に)は伸びていない。税収も減少し、100億円を切っている。宮津の再生のためには、選択と集中で経済力を高める必要があり、宮津市の「地域再生計画」では、「自立循環型経済社会構造への転換戦略(以下、「転換戦略」という。)、「定住促進戦略」による宮津の再生を掲げた。「転換戦略」では、観光振興を軸に、①地域資源の活用(ナマコ、オリーブ、竹等)、②農山漁村の活性化(エコツーリズム、自然エネルギー等)、③若者のUIターン促進、④観光プラットフォームの整備、⑤平成天橋塾の設立等に取り組む。今後の宮津市は、自立を目指して事業に取り組む。意見交換では、各事業の詳細説明を受けた後、宮津市における自立概念に対して自治体間連携の重要性が問われ、連携型課題解決モデルとしてLORCとの今後の連携を確認した。

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(3) 京丹後市役所 峰山庁舎

対応者: 川口誠彦 氏(企画総務部企画政策課)、高橋尚義 氏(商工新興課長)、澤学爾氏(農林水産環境部環境バイオマス推進課)
場 所: 京丹後市役所

 京丹後市は、2015年3月2日にまち・ひと・しごと創生「人口ビジョン」及び「総合戦略」を全国で最初に策定公表した。早期策定・公表の背景には、同市では2014年12月に議会で可決された第2次総合計画(10カ年計画)の取り纏めを行ってきており、その前半5年分を目標値として設定しているからである。地域活性化モデルケース・地域再生計画での提案内容は、①新シルク産業の創造、②新公共交通体系の構築、③地域協働大学法人制度の創設、④再生可能エネルギーの全面展開、⑤観光振興、⑥地域包括ケアの推進を柱にしている。①のシルク産業創造は、日本のシルク産業において養蚕農家の高齢化・後継者不足により2014年度養蚕農家数や繭生産量が2007年度の4割水準まで減少し、日本における国産繭のシェアが0.7%となっていることが背景にある。現在、日本の着物は、原料がほぼ中国となっているが、今後の日中関係や原料高を考慮し、原料を日本・丹後地域で生産しようという発想である。2015年からは廃校となった溝谷小学校を拠点に、蚕を温度管理・空調管理によって季節にとらわれずに育て、冬場は桑の葉の成分を含む人工餌を与え、年5回繭を生産(通常年2回)できる量産化研究を行う。現在の課題は、大量生産時の質の問題であり、今後、信州大学、京都工芸繊維大学、福井大学と連携して共同研究を進める。商品化の出口戦略をコンソーシアムを組んで推進する。最後の意見交換では、産業おこしや人材育成(育った人が地域でコトを起こす仕組み作り)、夢まちづくり大学の単位認定、交流人口と定住人口を分けて考える等に議論がなされた。夢まちづくり大学の取り組みでは、今後、履修証明プログラム等で大学と連携を図れることを確認した。

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