2016年3月30日
第7回:京丹後市農林水産環境部  農政課 都市農村交流係  係長 松下幸弘(ゆきひろ)氏

今回は、京丹後市農林水産環境部 農政課 都市農村交流係係長の松下幸弘(まつした ゆきひろ)氏にインタビューを行いました。

聞き手:榎並ゆかり(龍谷大学地域協働総合センターRA)

-龍谷大学政策学部のPBL活動の支援をいただき学生との関わっておられる中で、最近の学生についてどのような印象をお持ちですか。

3年前、はじめて域学連携事業の支援として最初に学生と出会ったときには、元気いっぱいの学生が多いなぁという印象を受けました(笑) しかし、一人ひとりと話をしていくなかで、学生たちが各々熱い思いを持っていることを知り感動を覚えました。年々、地域に関する情報が増えるにつれ、地域内での活動や提言も上手くなってきたように思います。今年のPBLクラスは大人しい学生が多かったような印象があるので、型破りで元気な学生が加わるとさらに面白くなるのではないでしょうか(笑)

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写真:「政策実践探究演習」発表会で、学生の発表にコメントする松下氏

-学生が地域に入ることによって、地域に何か変化がありましたか。また、地域から学生が求められていることはどんなことでしょうか。

京丹後市の中山間地の農村地域は、どこも過疎高齢化集落であり、抱える問題は近年何も変わっていません。最近の傾向として、農村問題を題材に大学や企業が地域と一緒に課題解決にあたるといった取り組みが増えています。それは五十河地域でも同じことではありますが、私自身は学生が入ることによって地域に特に変化はないのではないかと予測していました。実際に、大きな変化があったわけではありませんが、市発行の地域お知らせ誌「いかがだより」の中で学生が活動情報を発信していくにつれ、地域における学生との活動に対する認知度が少しずつ上がっています。おかげで、政策提言の中間報告会にも区役員だけでなく、一般住民の方も参加いただけるようになってきました。こうして、徐々にではありますが、3年間の活動や発信を通じ、地域で認知されてきたことを嬉しく思います。学生の提言は、"善意ある「若者」の「ヨソ者」としての意見"という意味で重要なことであるので、今後とも少しずつであっても地域住民に浸透していけば良いと思っています。

特に、学生が活動している地域はすぐにも超高齢化になることが予想される地区です。アンケートにもあったように、住民の中には「学生と関わるのは面倒くさい」「生活の邪魔をしないでほしい」等、色々なネガティブな考え方の方もおられますが、学生にはこれからも集落に入り続けてもらい、いろいろな提言を通して集落に関わり続けて欲しいと願っています。来訪した学生の皆さんが地域のファンになっていただき、その中から将来、京丹後市に移住してくれるような人が現れると嬉しいですね。

-普段、ご担当されている業務について教えてください。

通常の業務においては、係名が「都市農村交流係」ということで、文字どおり都市と農村を繋ぐ仕事をしています。例えば田舎暮らしと地域住民が交流できる「農家民宿」の拡大、都会の子供たちを短期で受入れ田舎暮らしを満喫してもらう「子ども農村漁村交流プロジェクト」、都会の人たちを受け入れる側の農村集落自身が元気に活動するための「命の里事業」などを担当しています。

-学生と関わることによって、松下さんご自身のお仕事に何か影響はありましたか。

私が担当している事業は、どれも地域に元気がないとできない事業であり、現実問題として地域の高齢者だけで考えて実行していくには限界がありました。そこで、考え方や行動力が柔軟な学生に協力してもらえたらと思い、当初は無理やりではありましたが(笑)学生たちに一緒に活動をしてもらうようお願いしてみたという感じです。

そのうち、地域政策に限定せず、農業、映像、食育、環境といった分野で地域に何が適しているのかということも、私自身も学生とともに同じ目線で考えるようになり、より一層地域に対する理解が深まり、活動につながっていったように思います。私の立場は、「地域と学生を繋ぐ」という役割なのですが、学生と関わることによって、毎回毎回気づくことが多く、一般的な事務仕事では体験できないような考え方や理論を知ることで成長できたように思います。

-今後、取り組んでみたいこと、目標などを教えてください。

学生の協力を得ることができるのであれば、「大学×地域」は勿論のこと、「大学×地域の小学生」、「大学×地元企業」「大学×地域の高齢者」といった多様な可能性を探っていきたいと思います。そして、自分としては、「大学×公務員」を今後も実践していきたいと思っています。

-松下さんには、これからも学生が引き続きお世話になりますがよろしくお願いいたします。本日はお話どうもありがとうございました。

大学と地域(コラム)