2015年12月 3日
第6回:稲田 和久氏(伏見区役所 地域力推進室 事業係)"更なる区民間交流イベント実現に向けて"

更なる区民間交流イベント実現に向けて

聞き手:長谷川 裕晃
龍谷大学 地域協働総合センターRA

今回は、伏見区における20学区の地域間・区民間交流の促進を目的とした「伏見ふれあいプラザ」事業の事務局を担っている伏見区役所地域力推進室 まちづくり推進担当の稲田和久(いなだ かずひさ)氏にその役割や今後の展望などについてインタビューを行いました。

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-伏見区役所 地域力推進室 まちづくり推進担当の事業内容について教えて下さい。

伏見区は35学区から構成されており、その南部・西部地区内の20学区を伏見区役所が管轄し、北部の5学区を深草支所、東部の10学区を醍醐支所が管轄しております。
地域力推進室 まちづくり推進担当は、地域との窓口でもあるため市政に関する相談を受け、内容に応じて対応できる部署を紹介しています。また、市民啓発や交流促進を目的とした区民ふれあい事業をはじめ区民のスポーツ振興・文化の向上や交通安全に関するイベントの開催などを実施しています。

-伏見ふれあいプラザの内容について教えて下さい。

20学区が各々模擬店を設置し、地域の魅力ある飲食物の販売や体験コーナーを設けて、区民相互が交流し、また、ステージでは各学区より1チームが登壇し、ダンスや伝統芸能など日々の練習の成果を披露する場となっています。
また、行政ブースでは環境や交通の啓発を行い、地域団体ブースでは各団体の活動紹介ならびに、様々な体験コーナーや小学生絵画、書道作品展、生花展などを開催しており、見て、食べて楽しめる内容となっています。

-伏見ふれあいプラザの目的について教えて下さい。

伏見ふれあいプラザは、「伏見区にいつまでも住み続けたい」と実感できるまちづくりを目指して、区民相互の交流とふれあいを深めるとともに地域の活性化を図ることを目的に開催しており、4年前までは伏見区役所管轄の南部地域と西部地域でそれぞれに開催されていたふれあいプラザでしたが,ひとつとなって一致団結することを目的に統合して今回で3回目の開催となります。
主催については、20学区の市政協力委員会長など20名の学区の代表者と事務局の伏見区役所とで構成された「伏見ふれあいプラザ実行員会」が主催者となり執り行っております。

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-伏見ふれあいプラザを開催することで何か地域や区民に効果やメリットがあるのでしょうか?

普段、あまり顔を合わせることがない他の学区の方と、このイベントを通して交流し、情報交換などが出来る場となっていますね。
また、出展者の多くが年配者ですので、このイベントに参加した若い世代の方々には地域の高齢化についても気づいて欲しいと思い、PTAや保育園など様々な伏見区内の団体にも参加の呼び掛けをしています。そして、地域にも意識が向き自治会への参加などにもつながれば良いと思います。

-伏見ふれあいプラザの課題について教えて下さい。

開催場所については、現在は屋内施設である京都パルスプラザで開催していますが、公共交通機関を利用してのアクセスの不便さが大きな課題です。
場所の変更をしたとしても伏見区は広く、どこで開催をしても遠方になる地域ができアクセスの不便さを解消することは難しいと想定しています。
 そこで、今回からはアクセスの向上を図る試みとして、京阪電車の中書島駅から京都パルスプラザまでの往復シャトルバス1台を開催時間中、試験的に運行させました。計150名以上の方々の利用がありましたが認知度不足等もあり、利用者数がそれほど伸びなかったように感じるが、一定の効果はあったと思います。
 さらに大きな課題としては、伏見ふれあいプラザの内容が変化なく、マンネリ化することを危惧しています。実行委員会メンバーからの新たな企画や他団体とのコラボレーションなどをメンバーから提案頂き、独自性を高めることも必要だと考えています。
 ただ、イベント内容について行政や大学側から提案をすることで各学区の代表の方にこれ以上の負担をかけることが無いように配慮をしつつ、変化を生み出すことのバランスがとても難しいです。

-今後の伏見ふれあいプラザの展望について教えて下さい。

地域間、区民間交流を目的とした「伏見ふれあいプラザ」が伏見区の定番イベントとなり、地域活動団体やNPO、企業など多種にわたっての団体が参画する場となり、運営に関しても地域住民中心の実行委員会で運営され、企業協賛などで運営費も賄えるようになれば素晴らしいと思います。

-龍谷大学への期待、求める役割があれば教えて下さい。

龍谷大学と連携した伏見ふれあいプラザの開催は今年で2年目を迎え、昨年度から引き続き実施した来場者や出展団体へのアンケートでは今後の事業運営に向けて非常に参考となっています。
 また、学生が実行委員会の会議から参画することでメンバーにも良い刺激になっており、固定概念にとらわれがちな我々に若くて、素直で突拍子もないようなアイデアや企画を提案いただきたいと思います。
 そして、伏見ふれあいプラザを通して地域の繋がりの大切さを実感してもらい、ここでの経験や学びを活かして自身の地元に貢献頂き、地域の担い手へと成長してもらえたら嬉しく思います。

以上のように、地域イベントを裏で支えている行政側からの視点でいろいろとお応えを頂きましたが、地域イベントでは出展側のスタッフは全てボランティアで運営されており、負担が増えれば出展者数やスタッフ数の減少にも繋がり開催の継続も危ぶまれる中、そのバランスを取りながら開催目的や時代に沿った内容へと変化をさせていく苦労も垣間見ることができました。
また、伏見ふれあいプラザを継続して開催し続けるためには、実行委員会や運営スタッフに学区の若い世代が夢と希望を持って積極的に参画できるように様々な機会を提供し、新しい仕組みを作る工夫が必要だと感じました。

2015伏見ふれあいプラザ 概要

開催日:2015年9月6日(日)10:00~15:00
開催場所:京都パルスプラザ (京都市伏見区竹田鳥羽殿町5)
入場料:無料
入場者数:約6000名

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